NEW外国人留学生の採用について
さまざまな業界で外国人留学生の採用が進んでいます。外国人留学生採用の市場やノウハウについてお伝えします。

公開日:2024.9.20

グローバルに事業を展開する企業が増える中、日本語と母国語でのコミュニケーションが可能な外国人を従業員として採用することは当たり前となりつつあります。外国人留学生の新卒採用事情がどのようになっているか、実態を紹介します。

Summary

外国人留学生の採用が今後欠かせないものに

少子高齢化が急速に進む日本にとって、労働力不足が大きな社会課題になることは間違いありません。2050年には生産年齢人口がピーク時から半減し、2040年には約1,100万人の労働供給不足になると言われています。そうした予測の中、2033年までに日本人学生の海外留学を50万人に、外国人留学生の受け入れを40万人に増加させる政府方針が掲げられました。このような情勢において、今後日本人の新卒採用はどんどん厳しくなり、逆に新卒採用マーケットの中で外国人留学生の割合が増える可能性は限りなく高いと言えます。つまり、安定的な人材確保のためには、もはやどのような企業であっても、外国人留学生などグローバル人材を採用対象とすることが避けられない時代が目前に迫っているといえます。
では現在の外国人留学生のマーケットについて見てみましょう。独立行政法人日本学生支援機構の調査によると、令和5年5月1日現在の外国人留学生の数は約28万人です。前年比20.8%増となっており、コロナ禍で下降していた時期はあるものの、政府方針もあり中長期的には増加傾向であることは間違いありません。次に外国人留学生の出身国・地域を見てみましょう。令和5年度の国地域別留学生数の上位5カ国は、1位中国、2位ネパール、3位ベトナム、4位韓国、5位ミャンマーとなっています。また、留学生の進路についてですが、大卒以上の外国人留学生の就職希望は約6割(日本学生支援機構「私費外構人留学生生活実態調査」)ですが、一方大学卒の国内就職率は約3割強に留まっており、買い手市場ともいえる状況が生まれています。

ここで外国人留学生を新卒採用するメリットについて紹介します。

■新卒採用マーケットにおいては採用のチャンスが大きい

上記でもお伝えしたように、年々増加する外国人留学生の数に対し、このマーケットで新卒採用に取り組む企業・採用人数はまだまだ少なく、比較的採用しやすいブルーオーシャンだと言えます。今後このマーケットに取り組む企業が増えることが想定されるため、早めに採用実績を作っておくことが重要です。

■成長意欲・出世意欲が高い学生が多い

外国人留学生の特徴として、日本人学生と比較して仕事に対しての成長意欲が高く、出世意欲が高いことが挙げられます。日本人学生は出世よりもワークライフバランスを重視する傾向が強まる中、専門性を高め成長したい・多少忙しくても出世したいというキャリア志向の学生が多いのは、採用におけるメリットといえます。

■日本語と母国語での業務対応が可能である

グローバルな取引がある企業においては、日本語と中国語など母国語での業務ができる外国人従業員は、業務全般の進行はもちろんのこと、日常的に発生する翻訳・通訳業務、輸出入の手続きや通関等の事務手続きにおいても強みを発揮します。

■日本の生活やルールに慣れており、職場環境に馴染みやすい

外国人材を採用する場合、大きな壁となるのが日本の文化や習慣への理解や慣れです。その点、日本に留学している外国人留学生であれば留学経験の中で日本の生活やルールに慣れているため、スムーズに日本の職場環境に馴染めることが期待できます。

このように外国人留学生を新卒採用することには、大きなメリットがあります。

外国人留学生を新卒採用するための方法

では新卒で外国人留学生を採用するにはどのような方法をとればいいのでしょうか?
まずは国内学生と同様に、外国人留学生の応募者を集めることがスタートとなります。キャリタスリサーチによる外国人留学生の就職活動状況に関する調査(2023年8月)によれば、就職活動の情報源で最も多いのは「日本国内学生向け就職サイト」(66.0%)、次に「留学生向け就職サイト」(60.5%)、「企業ホームページ」(45.6%)、「留学生向け就職イベント」(39.2%)となり、多くの外国人留学生は就職サイトや就職イベントを活用していることが分かりますので、このような場で広報活動を行い、選考活動を進めましょう。
また、外国人留学生の採用において強力なチャネルといえるのが就職課・キャリアセンターです。日本人のように就職サイトやイベントを使いこなせないため、学校に相談し留学生を採用する企業の紹介を受けるケースが多いと言えます。さらに、学校を通じて外国人留学生を継続して採用すると先輩や学校経由でのリファーラルが日本人以上に有効なため、安定した採用チャネルになっていく可能性が高いです。
無事に内定を出したあとは国内学生と同様に外国人留学生と雇用契約を締結しましょう。雇用契約の締結がないと外国人留学生は在留資格を変更することができないからです。雇用契約を締結したあとは、在留資格を変更する手続きの準備を行います。在留資格変更許可申請の審査には通常2~3カ月かかるため、例えば業務開始を4月にする場合は1月までには在留資格変更許可申請を出す必要があります。
また、新卒外国人従業員が働ける在留資格(就労ビザ)は「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「特定活動46号」となっており、自社で雇用する業務内容に合わせて申請を行ってください。

■技術・人文知識・国際業務ビザ

自身の専門分野(法律・自然科学・経済など)を活かして業務する外国人が対象となり、大学で学んだ専門と業務内容に関連が求められます。

■特定技能ビザ

介護や建設、農業、漁業、外食業など人手不足が著しい特定産業分野(12分野14業種)に従事する外国人に与えられる就業ビザです。学歴要件や学問との関連性の要件は必要ありませんが、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。

■特定活動46号

日本の大学または大学院を卒業した外国人が、留学経験を通じて得た高い日本語能力を活かして業務にあたる場合に発効されるビザですが、日本語能力試験N1合格など厳しい要件があります。

このように学国人留学生を採用するには自社の雇用契約のほかに、ビザの課題をクリアすることが重要なポイントです。

外国人留学生を採用する際の注意点

最後に外国人留学生を採用する際の注意点を紹介します。
まずは法的観点から、採用しようとする外国人留学生については在留資格の確認を必ず行いましょう。仮に在留資格の期限が切れている外国人を雇用したり、在留資格の内容から外れている業務を依頼すると、企業側も不法就労助長罪で罪に問われることとなるからです。本人が持つ在留カードを確認し、在留資格を確実に確認してください。
次に労働条件の明確化にも注意しましょう。日本人の雇用においては、職務・業務内容を明確化せず総合職といった形で雇用することが多いですが、海外の人材はそうした慣行が通用しないことも多いため、自社の労働条件や職務内容を明文化し、お互いの齟齬が起こらないようにすることが求められます。
また、外国人留学生を受け入れる体制の準備も重要です。彼らは日本での留学生活を通じて日本の文化や習慣に馴染んでいるとはいえ、日本の会社で働くことはほとんど初めての経験です。留学生がスムーズに職場に溶け込むことができるように、人事部門だけでなく実際に配属となる現場部門にも受入れ体制を整えさせる必要があります。
そして、待遇面でも注意点があります。2020年4月から同一労働同一賃金制度が適用され、外国人留学生に対して不当に待遇を下げることは違法とされます。労働契約の段階でこれに反する場合、外国人留学生が在留資格を取得できない可能性もあります。

今回は、外国人留学生を新卒採用するための情報を紹介しました。中長期的に新卒採用においてグローバル人財の比率が高まることは間違いありません。その時代が本格的に到来する前に、少しずつ採用実績を積み上げて社内での外国人財の存在感を高めていく必要があるのではないでしょうか。
次回は、就職課やキャリアセンター訪問のコツについて説明いたします。

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